クレジットカードの審査に落ちてしまったとき、多くの人が「なぜ通らなかったのか」と理由を知りたくなります。しかし実際には、カード会社が審査基準を公開することはなく、問い合わせても理由を教えてもらえません。
審査落ちには必ず原因があり、それを理解することで自分の状況を客観的に把握できます。
審査で判断される2つの要素
クレジットカード会社は独自の審査基準を設けており、申込者の「支払能力」を総合的に判断しています。審査で重視されるのは、属性情報と信用情報の2つです。
審査に通らない理由は、これらのいずれか、または両方に問題があるためです。
| 判断要素 | 具体的な内容 | 審査での役割 |
|---|---|---|
| 属性情報 | 年齢、収入、職業、勤続年数、居住形態など | 現在の支払能力を判断 |
| 信用情報 | クレジットカードやローンの利用履歴、返済状況 | 過去の返済実績から信用力を判断 |
属性情報が原因で通らないケース
年収が少ない、または収入が不安定と判断されると審査通過は難しくなります。特にゴールドカードやプラチナカードなど上位カードに申し込む場合、平均的な収入より少ないと審査が厳しくなる傾向があります。
フリーランスや個人事業主など収入が変動しやすい職業も、審査では不利になりやすいです。勤続年数が6か月未満と短い場合も、継続的に収入を得られるか判断できないため評価が下がります。
信用情報が原因で通らないケース
過去のクレジットカードやローンで延滞・滞納があると、審査に大きく影響します。
信用情報機関には支払状況がすべて記録されており、カード会社は審査時に必ずこれを照会します。
2~3か月以上の長期延滞は「金融事故」として記録され、審査通過はほぼ不可能になります。自己破産や任意整理、個人再生といった債務整理を行った場合も、「異動情報」として登録され審査で非常に厳しく見られます。
収入・雇用形態に関する理由
安定した収入がないと判断されることは、審査に通らない最も一般的な理由の一つです。クレジットカードは後払いのサービスであるため、毎月確実に支払える能力が求められます。
- 年収が申し込むカードの基準に満たない
- 収入が不安定な職業に就いている
- 勤続年数が短く、継続雇用の見込みが不透明
- 本人に収入がない(専業主婦・主夫など、ただし配偶者の収入で判断されるケースもある)
- 転職直後で勤務実績が少ない
居住形態や居住年数も審査に影響します。持ち家であることや、賃貸でも居住年数が長いほど、支払能力が高いと判断される傾向があります。一人暮らしより同居家族がいる場合の方が、プラスの評価につながります。
既存の借入が多いことが理由
既に他社からの借入額が大きい場合、新たなクレジットカードの審査には通りにくくなります。カード会社は申込者の信用情報を照会することで、現在の借入状況を正確に把握できます。
リボ払いやキャッシング、消費者金融からの借入がある状態で申し込むと、「資金繰りに困っているのではないか」「返済能力を超える」と判断されます。収入に対して返済額が多すぎると、自転車操業に近いとみなされ審査に落ちます。
過去の金融事故が理由
信用情報に「異動情報」が登録されている場合、審査通過は極めて困難です。異動情報とは、長期延滞や債務整理など重大な返済トラブルの記録を指します。
| 金融事故の種類 | 具体的な内容 | 信用情報への登録期間 |
|---|---|---|
| 長期延滞 | 2~3か月以上の支払遅延 | 完済後5年程度 |
| 自己破産 | 裁判所を通じた債務の免責 | 5~10年 |
| 個人再生 | 裁判所を通じた債務の減額 | 5~10年 |
| 任意整理 | 債権者との交渉による返済条件の変更 | 5年程度 |
| 強制解約 | カード会社による一方的な契約解除 | 5年程度 |
これらの情報が残っている間は、どのクレジットカード会社に申し込んでも審査通過は非常に難しくなります。信用情報機関は複数あり、それぞれが情報を共有しているため、一つの機関に記録があれば他の機関を通じても把握されます。
クレジットヒストリーがないことが理由
これまで一度もクレジットカードやローンを利用したことがない人は、信用情報が全く記録されていない状態です。一見問題なさそうですが、実は審査で不利になることがあります。
過去の返済実績がないため、カード会社は返済能力を判断する材料がありません。そのため、より慎重な審査が行われます。特に30代以上でクレジットヒストリーが全くない場合、過去に金融事故を起こして情報が消えたのではないかと疑われる可能性もあります。
スマートフォンの端末代金を分割払いにしている場合や、エステローン・医療ローンなどを利用している場合も信用情報に記録されます。これらも含めて全く記録がない状態が、かえって審査に悪影響を与えることがあります。
短期間に複数申し込みをしたことが理由
クレジットカードの申込情報は、JICCなどの信用情報機関に6か月間記録されます。短期間で複数のカードに申し込むと、その記録がすべて残り、次の審査に悪影響を及ぼします。
6か月以内に何度も申し込みをしていると、「お金に困っているのではないか」「入会特典目当てではないか」とカード会社に疑念を持たれます。これは俗に「申込ブラック」と呼ばれる状態で、審査落ちの原因となります。
- 1か月に3枚以上のカードに申し込んだ
- 審査に落ちた直後に別のカードに申し込んだ
- 6か月以内に5枚以上のカードに申し込んだ
- キャンペーン目当てで複数のカードに同時申込した
複数のカードが必要な場合でも、1か月以上の間隔を空けて申し込むべきです。審査に落ちた場合は、最低でも6か月以上期間を空けてから次の申し込みをすることが推奨されます。
申込内容に不備・虚偽があることが理由
申込フォームへの入力ミスや記入漏れも、審査に通らない理由となります。本人確認書類が期限切れだったり、画像が不鮮明で確認できなかったりする場合も審査が困難になります。
審査を通りたいがために年収を実際より多く申告しても、カード会社は提出書類や属性情報から実際の年収を推測できます。虚偽申告は必ず発覚し、「信用できない人物」と判断されて審査落ちの原因となります。
勤務先への在籍確認が取れない場合も問題です。勤務先に電話をかけても誰も出ない、または申込者の存在が確認できないと、「勤務実態がない」と判断されます。
申込条件を満たしていないことが理由
クレジットカードには、それぞれ申込条件が設定されています。この条件を満たしていない場合、審査以前の段階で申し込みが受理されません。
| 申込条件の例 | 満たしていない場合 |
|---|---|
| 満18歳以上(高校生を除く) | 17歳以下、または高校在学中 |
| 本人に安定した収入があること | 無職、または収入が極端に少ない |
| 学生専用カード | 学生ではない |
| 30歳以上限定カード | 29歳以下 |
例えば「満18歳以上で本人に安定した収入があること」という条件がある場合、18歳以上かつ高校を卒業し、さらに安定した収入がなければ申込条件を満たしません。
申し込み前に、必ず各カードの申込条件を確認することが重要です。
過去に同じカード会社でトラブルを起こしたことが理由
申込先のカード会社と過去にトラブルを起こしている場合、社内でトラブル事例として共有されるため審査で非常に不利になります。信用情報機関の記録とは別に、カード会社は独自に顧客情報を保持しています。
- 過去に同じカード会社のカードで長期延滞をした
- 強制解約された経験がある
- 不正利用の疑いをかけられたことがある
- カスタマーサポートとの間で深刻なトラブルがあった
このような場合、信用情報機関から異動情報が消えても、カード会社の社内データには半永久的に記録が残る可能性があります。同じカード会社系列のカードに申し込んでも、審査通過は極めて困難です。
審査に通らない理由は複合的
実際の審査では、一つの要素だけでなく複数の要因が組み合わさって判断されます。年収が少し低くても勤続年数が長ければプラス評価になったり、信用情報に問題がなくても申込ブラックの状態であれば落ちたりします。
審査基準はカード会社によって異なるため、A社で落ちてもB社では通る可能性があります。ただし、明らかな金融事故の記録がある場合や、申込条件を満たしていない場合は、どのカード会社でも審査通過は困難です。
自分がどの理由に該当する可能性が高いか分析するには、信用情報機関に開示請求を行うことが有効です。CIC、JICC、KSCの3つの機関があり、それぞれウェブサイトから開示請求ができます。