
給料日前の急な出費や、予想外の支払いが重なって、クレジットカードの請求額を準備できない…。そんな状況に直面したとき、どう対処すればよいのでしょうか。放置すれば遅延損害金が発生し、信用情報にも影響が出る可能性があります。
支払いが難しいとわかった時点で、適切な対処を取ることが重要です。カード会社への連絡、支払い方法の変更、公的機関への相談など、状況に応じた選択肢があります。
まずはカード会社に連絡する
支払いが難しいとわかったら、真っ先にカード会社へ連絡しましょう。支払日前であれば、対応の選択肢が広がります。カード会社は利用者の状況を聞いたうえで、可能な範囲での解決策を提示してくれることがあります。
連絡する際は、以下の点を明確に伝えることが大切です。
- 支払いの意思があること
- いつまでに、いくら支払えるかの見通し
- 支払いが難しくなった理由
支払日の変更を相談する
多くのカード会社では、支払日の変更に対応しています。給料日後に支払日を設定できれば、資金繰りが楽になるでしょう。カード会社が定めた変更期日前であれば、会員サイトやアプリから手続きできる場合もあります。
変更期日を過ぎている場合でも、電話で相談することで対応してもらえる可能性があります。誠実な態度で状況を説明し、具体的な支払い予定を伝えましょう。
支払い方法の変更を検討する
一括払いを予定していたものの支払いが困難な場合、期限内であれば支払い方法を変更できます。カード会社によって対応は異なりますが、主に以下の方法があります。
| 支払い方法 | 特徴 |
|---|---|
| 分割払い | 支払回数を設定し、決まった期間で返済する方法 |
| リボ払い | 毎月一定額を支払っていく方法 |
| スキップ払い | 支払いを数か月先に延ばせる方法 |
ただし、支払い方法の変更には手数料がかかることが一般的です。長期的には支払総額が増えるため、あくまで一時的な対処として活用しましょう。
ポイントやキャッシュバックを活用する
クレジットカードの利用で貯まったポイントを、支払いに充当できる場合があります。会員サイトやアプリから、保有ポイントとキャッシュバック可能な金額を確認してみましょう。
数千円から数万円分のポイントが貯まっていれば、今月の支払いを少しでも軽減できます。ポイントによる支払いやキャッシュバックサービスは、多くの場合、会員サイト・専用アプリ・電話から申し込めます。
家族や知人に相談する
一時的な資金不足であれば、家族や信頼できる知人に相談する選択肢もあります。借りる場合は、返済時期と金額を明確にし、必ず返済する意思を示すことが大切です。
ただし、金銭の貸し借りは人間関係に影響を与える可能性があります。慎重に判断し、他の方法も並行して検討しましょう。
収入を増やす方法を考える
支払いまでに時間的余裕がある場合は、収入を増やす方法も検討できます。短期的な収入確保の手段としては、以下のような方法があります。
- 不用品の売却(フリマアプリやリサイクルショップの活用)
- 日雇いや短期アルバイト
- 副業やクラウドソーシング
不用品を現金化する
自宅に眠っている不用品を売却すれば、数日から1週間程度で現金を得られることがあります。フリマアプリなら自分で価格を設定でき、リサイクルショップなら即日現金化が可能です。
家電製品、ブランド品、書籍、衣類など、需要がある品物は比較的売れやすい傾向にあります。複数のアイテムを出品すれば、まとまった金額になることもあるでしょう。
公的機関や専門家に相談する
自力での解決が難しい場合、公的機関や専門家への相談を検討しましょう。特に複数のカード会社への支払いが重なっている場合や、数か月にわたって支払いが困難な状況では、早めの相談が重要です。
日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)
クレジットやローンの返済に関する無料相談を受け付けている公益財団法人です。専門のカウンセラーが、家計の状況を確認したうえで、返済計画の見直しや債務整理の方法について助言してくれます。電話相談やカウンセリングセンターでの面談が可能です。
相談は無料で、秘密も守られます。詳しくは日本クレジットカウンセリング協会のウェブサイトで確認できます。
法テラス(日本司法支援センター)
経済的に余裕がない方のために、無料の法律相談や弁護士費用の立替えを行っている公的機関です。債務整理が必要な状況では、収入や資産が一定の基準を満たせば、費用を抑えて専門家のサポートを受けられます。
同じ問題について3回まで無料で相談でき、その後の手続きについても案内してもらえます。詳細は法テラスのウェブサイトで確認しましょう。
消費生活センター
消費者トラブル全般の相談窓口として、クレジットカードに関する相談も受け付けています。消費者ホットライン「188(いやや)」に電話すれば、最寄りの消費生活センターにつながります。
| 相談先 | 特徴 | 連絡方法 |
|---|---|---|
| 日本クレジットカウンセリング協会 | クレジット・ローン返済の専門相談 | 電話・面談 |
| 法テラス | 法律相談・弁護士費用の立替え | 電話・ウェブ予約 |
| 消費生活センター | 消費者トラブル全般の相談 | 188番(消費者ホットライン) |
債務整理という選択肢

複数の借入れがあり、毎月の返済が困難な状況が続いている場合、債務整理を検討する必要があるかもしれません。債務整理とは、法律に基づいて借金の減額や返済方法の変更を行う手続きです。
任意整理
弁護士や司法書士が債権者と交渉し、利息のカットや返済期間の延長を図る方法です。裁判所を通さずに手続きできるため、比較的スムーズに進みます。毎月の返済額を減らし、3~5年程度で完済を目指します。
個人再生
裁判所を通じて借金を大幅に減額し、3~5年で返済する手続きです。住宅ローン特則を利用すれば、自宅を残したまま他の借金を整理できる場合があります。安定した収入がある方が対象となります。
自己破産
裁判所に申し立てを行い、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。生活に必要な最低限の財産を除き、資産は処分されます。返済能力がほとんどない状況で選択される方法です。
やってはいけない対処法
支払いができない状況でも、以下のような対処法は避けるべきです。問題を悪化させ、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。
借入れで返済する
他のクレジットカードでキャッシングをしたり、消費者金融から借りて返済に充てることは、根本的な解決にはなりません。借入総額が増えるだけで、翌月以降の返済がさらに困難になります。
複数の借入先ができると、多重債務に陥るリスクが高まります。一時的に支払日を乗り切れても、状況は悪化の一途をたどるでしょう。
連絡を無視して放置する
カード会社からの連絡を無視し、支払いを放置することは最も避けるべき行動です。遅延損害金が日々加算され、信用情報に事故情報が登録される可能性があります。
滞納が2か月を超えると、カードの強制解約や一括請求、最悪の場合は法的措置に発展することもあります。どんなに状況が厳しくても、連絡だけは取り続けることが大切です。
違法な業者を利用する
「ブラックでも融資可能」「誰でも借りられる」といった甘い言葉で勧誘する違法業者には、絶対に近づいてはいけません。法外な金利を要求されたり、個人情報を悪用されるリスクがあります。
正規の貸金業者は金融庁に登録されており、利息制限法に基づいた金利設定をしています。困ったときこそ、公的機関や正規の専門家に相談しましょう。
支払い遅延を防ぐための日常的な対策
クレジットカードの支払いトラブルを未然に防ぐには、日頃からの管理が重要です。計画的な利用と収支の把握を心がけましょう。
利用明細をこまめに確認する
月末にまとめて確認するのではなく、週に1回程度は利用明細をチェックする習慣をつけましょう。アプリの通知機能を活用すれば、利用するたびに確認できます。使いすぎに気づきやすくなり、支払日前の慌てを防げます。
収入に見合った利用額を設定する
毎月の手取り収入から、固定費や生活費を差し引いた金額を把握しましょう。その範囲内でカードを利用すれば、支払いが困難になるリスクは大幅に減ります。
利用限度額いっぱいまで使えるからといって、無計画に使うのは危険です。「限度額の50%まで」など、自分でルールを決めるのも有効な方法です。
支払日前に残高を確認する
引き落とし日の2~3日前には、必ず口座残高を確認しましょう。不足している場合は、支払日前に入金する時間的余裕があります。自動引き落としに任せきりにせず、能動的に管理することが大切です。
- 複数の口座を持っている場合は、引き落とし用の口座を一つに集約する
- 給料日直後を支払日に設定する
- 引き落とし日の数日前にリマインダーを設定する
こうした小さな工夫の積み重ねが、支払いトラブルの予防につながります。