
「月々の支払いが一定で楽」「家計管理がしやすい」というメリットが強調されるリボ払い。しかし実際には、知らぬ間に多額の手数料を支払っていたり、いつまでも返済が終わらない事態に陥ったりするケースが後を絶ちません。
なぜリボ払いは「怖い」と言われるのでしょうか。その理由を仕組みから解説します。
リボ払いの基本的な仕組み
リボ払い(リボルビング払い)は、カードの利用金額や件数に関係なく、毎月ほぼ一定額を支払う方式です。分割払いが「支払回数」を決めるのに対し、リボ払いは「毎月の支払金額」を決める点が大きく異なります。
例えば10万円の買い物をして月1万円のリボ払いに設定した場合、翌月さらに5万円使っても、月々の支払額は原則として1万円のままです。一見便利に思えるこの仕組みが、実は大きな落とし穴になっています。
手数料の発生メカニズム
リボ払いでは、支払残高に対して年率15~18%程度の手数料がかかります。この手数料は残高が残っている限り毎月発生し続けるため、返済期間が長引くほど総支払額が膨らんでいきます。
- 毎月の支払額が少ないと元金がなかなか減らない
- 残高に対して継続的に手数料が発生する
- 新たな買い物をすると残高が増え、さらに手数料も増加する
リボ払いが「怖い」と言われる3つの理由
一般社団法人日本クレジット協会も注意喚起していますが、リボ払いには利用者が陥りやすい危険性がいくつも潜んでいます。
理由1:返済が長期化して手数料が膨大になる
月々の支払額を低く設定すると、元金の返済ペースが遅くなります。20万円の買い物を月1万円のリボ払いで返済する場合、約1年8ヶ月かかり、手数料は約2万5千円にも達します。
さらに問題なのは、返済中に新たな買い物をしてしまうケースです。残高が増えれば手数料も増加し、「いつまで経っても完済できない」という事態に陥りやすくなります。
理由2:残高が見えにくく使いすぎる
月々の支払額が一定だと、実際にどれだけ使っているのか把握しにくくなります。毎月1万円の支払いが続いていても、実際の残高は20万円かもしれないし、50万円かもしれません。
この「残高が見えにくい」という特性が、無計画な利用を招く大きな要因です。気づいたときには利用可能枠いっぱいまで使っていた、というケースも珍しくありません。
理由3:意図しない「隠れリボ」の存在
国民生活センターには、「知らないうちにリボ払いになっていた」という相談が多数寄せられています。
| タイプ | 内容 |
|---|---|
| リボ専用カード | すべての支払いが自動的にリボ払いになるカード |
| 自動リボ設定 | 申込時に自動リボが設定されているカード |
| 後からリボ | 一括払いを後からリボ払いに変更できるサービス |
年会費無料やポイント優遇などの特典を強調した広告により、リボ専用カードであることに気づかず申し込んでしまうケースが問題になっています。
具体的な支払いシミュレーション

実際の数字で見ると、リボ払いの怖さがより明確になります。
ケース1:30万円を月1万円で返済する場合
- 返済期間:約3年6ヶ月
- 手数料総額:約8万円
- 総支払額:約38万円
元金30万円に対して、8万円もの手数料を支払うことになります。これは元金の約27%に相当する金額です。
ケース2:返済中に追加で利用した場合
残高20万円を返済中に新たに10万円使った場合、残高は30万円になります。月1万円の返済では元金がほとんど減らず、手数料ばかり支払い続ける状態に陥ります。
このように、追加利用を繰り返すと返済が終わらない「リボ地獄」に陥る危険性があります。
リボ払いを安全に利用するための注意点
リボ払い自体が悪いわけではありませんが、仕組みを理解せずに利用するのは危険です。どうしても利用する場合は、以下の点に注意しましょう。
利用明細を毎月必ず確認する
残高がいくらあるのか、手数料がどれだけかかっているのかを把握することが重要です。利用明細には必ず目を通し、残高の推移を確認する習慣をつけましょう。
繰り上げ返済を積極的に活用する
余裕があるときは積極的に繰り上げ返済を行い、残高を早期に減らすことで手数料を抑えられます。ボーナス時期などにまとめて返済するのも有効な方法です。
- 毎月の支払額を最低額に設定しない
- 可能な限り高めの金額を設定する
- 臨時収入があれば優先的に返済に充てる
新規利用を控える
リボ払いの残高がある間は、新たな買い物をできるだけ控えることが大切です。完済してから次の買い物をするという意識を持ちましょう。
もしリボ払いで困ったら
既に返済が苦しくなっている場合は、早めに対処することが重要です。放置すると滞納につながり、信用情報に傷がつく可能性があります。
まずはカード会社に相談し、返済計画の見直しを検討しましょう。場合によっては一括返済への変更や、毎月の支払額の増額を検討する必要があります。
また、複数のカードでリボ払いを利用している場合は、おまとめローンなどで低金利のローンに借り換えることで、総支払額を減らせる可能性もあります。
リボ払いの本質を理解して賢く使う
リボ払いは「月々の支払いが楽になる」というメリットの裏に、高額な手数料と長期化するリスクが潜んでいます。手数料率15~18%という数字は、決して低くありません。
便利さだけに目を奪われず、総支払額がどれだけ増えるのかを冷静に計算することが大切です。基本的には一括払いか分割払いを選び、リボ払いは本当に必要な場合のみ、計画的に利用するようにしましょう。
クレジットカードは便利な決済手段ですが、使い方を誤れば家計を圧迫する原因になります。自分の返済能力を超えた利用は避け、常に残高を把握しながら賢く活用していくことが重要です。