急な出費でお金が必要になったとき、クレジットカードのキャッシング機能とカードローンのどちらを選ぶべきか迷う方は多いのではないでしょうか。どちらも現金を借り入れできるサービスですが、金利や利用限度額、返済方法などに明確な違いがあります。

自分の状況に合った借入方法を選ぶことで、利息の負担を軽減し、計画的な返済が可能になります。

クレジットカードキャッシングとカードローンの基本的な違い

クレジットカードのキャッシングは、クレジットカードに付帯された借入機能です。ショッピング枠とは別にキャッシング枠が設定されており、ATMなどから手軽に現金を引き出せます。

一方、カードローンは借入に特化した金融商品です。銀行や消費者金融、信販会社が提供しており、ショッピング機能は付帯していません。専用のローンカードまたはスマートフォンアプリを使って借入を行います。

項目 クレジットカードキャッシング カードローン
主な機能 ショッピング+借入 借入専用
カードの種類 クレジットカード ローン専用カードまたはアプリ
年会費 カードによっては必要 原則不要
海外利用 可能(現地通貨引出) 原則不可

金利と利用限度額の違い

借入を検討する際に最も重要なポイントが金利と利用限度額です。この2つの要素が利息負担や借入可能な金額を大きく左右します。

金利水準の比較

カードローンは一般的にキャッシングより低金利で利用できる傾向にあります。クレジットカードのキャッシングは年15.0~18.0%程度の金利が設定されることが多く、金利幅が狭いのが特徴です。

対してカードローンは、借入金額によって適用金利が変動する仕組みを採用しています。借入額が大きいほど金利が低くなる傾向があり、まとまった金額を借りる場合は利息負担を抑えられる可能性があります。

利用限度額の設定

クレジットカードのキャッシング枠は、総利用枠の中に含まれます。例えば総利用枠が50万円の場合、10万円をキャッシングすると、ショッピングで使えるのは残り40万円です。

キャッシング利用可能額は一般的に10万~100万円程度となっています。カードローンの利用限度額は数十万円から数百万円と、キャッシングより高めに設定される傾向があります。ただし、実際の利用可能額はどちらも審査によって個別に決定されます。

比較項目 クレジットカードキャッシング カードローン
金利の目安 年15.0~18.0%程度 借入額に応じて変動(キャッシングより低い傾向)
金利幅 狭い 広い
利用限度額 10万~100万円程度 数十万~数百万円
ショッピング枠との関係 総利用枠内で共有 独立している

返済方法と返済の仕組み

返済方法の違いを理解することは、計画的な借入と返済に欠かせません。両者の返済方式には特徴があります。

クレジットカードキャッシングの返済

キャッシングの返済方法は、一括返済(1回払い)またはリボルビング払いが一般的です。一括返済では借入元金と手数料を翌月にまとめて支払います。

リボルビング払いでは、毎月一定額の元金と利息を返済していきます。返済方式は「元利定額リボルビング返済」が多く、月々の返済額が一定に保たれるため、支出の管理がしやすい特徴があります。返済はショッピング利用分と同じ引き落とし日にまとめて行われます。

返済方法は主に口座振替やATMです。カードローンと比べると返済方法の選択肢は少ない傾向があります。

カードローンの返済

カードローンは「残高スライドリボルビング返済」を採用していることが多くなっています。借入残高に応じて月々の返済額が変動し、残高が減るにつれて返済額も少なくなる仕組みです。

返済方法は口座振替のほか、ATM、インターネットバンキング、銀行振込など多様な選択肢があります。繰り上げ返済や一括返済も可能なため、余裕があるときに追加返済することで利息負担を軽減できます。

  • クレジットカードキャッシング:元利定額リボルビング返済が多い(毎月の返済額が一定)
  • カードローン:残高スライドリボルビング返済が多い(残高に応じて返済額が変動)
  • どちらも繰り上げ返済や一括返済が可能
  • カードローンの方が返済方法の選択肢が多い

総量規制と法的な規制

カードローンとキャッシングは、どちらも貸金業法の総量規制の対象となります。総量規制とは、申込者の年収の3分の1を超える貸付を原則禁止する制度です。

クレジットカード会社や消費者金融などの貸金業者からの借入総額が規制されるため、複数の借入がある場合は合算して計算されます。なお、クレジットカードのショッピング利用は貸金業法の対象外であり、総量規制の計算には含まれません。

ただし、銀行が提供するカードローンは貸金業者ではないため総量規制の対象外ですが、銀行も独自の基準で貸付金額を制限しています。

項目 総量規制の対象
消費者金融のカードローン 対象(年収の3分の1まで)
信販会社のカードローン 対象(年収の3分の1まで)
クレジットカードのキャッシング 対象(年収の3分の1まで)
クレジットカードのショッピング 対象外
銀行カードローン 対象外(ただし独自基準あり)

それぞれに向いている利用状況

借入の目的や金額によって、どちらのサービスが適しているかが変わってきます。状況に応じた使い分けが重要です。

クレジットカードキャッシングが向いている状況

少額を短期間だけ借りたい場合は、クレジットカードのキャッシングが便利です。すでにキャッシング枠付きのクレジットカードを持っていれば、提携ATMからすぐに借入できます。

海外で現地通貨が必要になったときも、キャッシング機能が役立ちます。海外の提携ATMで現地通貨を引き出せるため、両替所を探す手間が省けます。短期間で一括返済する予定であれば、両替手数料より安く済む場合もあります。

普段あまり借入の機会がなく、例外的に少額が必要になった場合にも適しています。

カードローンが向いている状況

まとまった金額を借りる必要がある場合は、カードローンの方が有利です。教育費用や家電の購入費用など、数十万円以上の借入では、低金利のカードローンを選ぶことで利息負担を大幅に軽減できます。

借入の頻度が高いことが想定される場合も、カードローンが適しています。年会費がかからず、利用限度額の範囲内で繰り返し借入できるため、コストを抑えながら柔軟に利用できます。

返済期間が長期にわたる可能性がある場合も、金利が低いカードローンを選択することで、総返済額を抑えることができます。

  • 少額の短期借入や海外利用:クレジットカードキャッシングが便利
  • まとまった金額の借入:カードローンの方が金利面で有利
  • 借入頻度が高い場合:年会費不要のカードローンがコスト面で優れる
  • 長期返済が必要な場合:低金利のカードローンで総返済額を抑える

カードローンは無利息期間が付くサービスがあります。短期間で返せる見込みがあるなら、無利息期間付きのカードローンが向いています。

給料日に返済する予定で3万円や5万円だけ借りるような状況なら、無利息で借りれば利息はかかりません。初回は最大30日間無利息になるアコムで3万円を借りたとしても、30日以内の給料日に返せば利息はゼロ円です。

どんなに低金利のカードローンより、無利息期間付きのカードローンのほうが負担が軽いことになります。

利用時の注意点

どちらのサービスを利用する場合も、全銀協のページにもある通り借りすぎに注意することが大切です。

カードローンは利用限度額内で繰り返し借入できる利便性がある反面、借入額が膨らみやすい傾向があります。借入残高を定期的に確認し、返済計画を立てることが重要です。キャッシングは金利が高めに設定されているため、長期間の借入には向いていません。できるだけ短期間で返済するか、一括返済を検討しましょう。

また、複数の金融機関から借入を重ねることは避けるべきです。返済のために新たな借入をする多重債務に陥ると、返済が困難になる可能性があります。

借入の際は必ず返済能力を考慮し、無理のない範囲で利用することが求められます。金融機関は日本貸金業協会に加盟している業者を選ぶと安心です。協会は貸金業の適正な運営と利用者の利益保護を目的とした自主規制機関で、相談窓口も設けています。

借入で失敗しないためにも、以下の点には注意をしておきましょう。

  1. 借入残高を定期的に確認し、返済計画を立てる
  2. キャッシングは短期利用を前提に、早期返済を心がける
  3. 複数の金融機関からの借入を重ねない
  4. 返済能力を超えた借入をしない
  5. 日本貸金業協会加盟の業者を選ぶ